今度は空いてる片方の手で、わたしの手首を壁にゆっくり押さえつけた。



「いつも……この可愛さを悝世が独占してるんだね」


「……っ?」



何が起きてるのかわからなくて
首を少し傾げて瑠衣くんを見つめたら。




「……ずるいね。俺も欲しくなるよ」



余裕が少し欠けているような顔をして。


どんどん瑠衣くんの顔が鮮明に見えるくらい近づいて。



唇が触れるまでわずか。



ギュッと目をつぶった瞬間。




「……このまま奪ってやりたくなる」



そんなつぶやきが聞こえた直後。

突然スマホの電子音が鳴った。



鳴っているのはわたしの。


ずっと鳴り続けているからおそらく着信。



「……あーあ。せっかくいいところだったのに。邪魔が入っちゃったね」