「どうなのかなぁ。
悝世ほどじゃないけど……」


あっ、やってしまった。

ぽろっと悝世の名前を出してしまった。



一瞬どうしようって焦ったけど、瑠衣くんはいつもと変わらない顔で言った。



「そうだよね。悝世は負けず嫌いだし。
それに自分のものに手を出されるのが嫌いだもんね」


フッと軽く笑ったかと思えば。




「……とくに依茉ちゃんのことはぜったいに譲らないもんね」



急に腕を引かれて、
気づいたら道から少し外れた路地裏。



壁に身体を押しつけられて。
強引じゃなくて優しくそっと。


でも逃げられないように壁に片手をついて。



「あ、の……るい、くん?」


ゆっくり控えめに顔を上げたら。




「……上目遣い」


「へ……っ?」



「めちゃくちゃ可愛いね」



不意打ちの可愛いと

いつも見せない危険な笑み。