7月 花side
しまった。
私は、間違って部屋に入ってきたであろう少女に名前を聞いていた。その理由は、その女の子がすっごく綺麗だったから。茶色に近い黒髪をふたつに結んでいて、唇は薄い桜色。ぱっちりとした瞳は儚さを秘めているようでとても声をかけずにいられなかった。「私の…名前…?」その子が不思議そうに首を傾げる。「そう。だってこうして会えたのって何かの運命よ。お名前くらいいいじゃない。」「水流橋誠。」淡々をした口調で告げられた名前は珍しかった。「誠ちゃんって言うのね。ちょっとお話しない?私、神崎花よ。よろしく」「私、友達のお見舞いだから。」私は、病室をつばさちゃんに交換して貰ったんだけど、お友達ってつばさちゃんかな。「病室、わかるの?」「…」黙っちゃった。わかんないのかな。「ご案内するわ、着いてきて。」私がそう言うと、誠ちゃんは黙って着いてきてくれた。「ここよ。」そこは、私が前いた病室。「ありがとうございました。」誠ちゃんはそのまま中に入ろうとした今度は止めなかった。きっと、もう会うことは無いから。私はいずれ死ぬのだから。思い入れすぎても仕方ない。「…あの」「何かしら?」「私、また花ちゃんのとこ行きたいです。」言われたのは思いもよらない素敵なセリフ。断る理由はない。「えぇ、いいわよ。私も誠ちゃんにまた会いたい。」私たちはお互い惹かれ合うように出会ったのだ。これが後に、生涯を共にする大親友になるのは先のお話。
しまった。
私は、間違って部屋に入ってきたであろう少女に名前を聞いていた。その理由は、その女の子がすっごく綺麗だったから。茶色に近い黒髪をふたつに結んでいて、唇は薄い桜色。ぱっちりとした瞳は儚さを秘めているようでとても声をかけずにいられなかった。「私の…名前…?」その子が不思議そうに首を傾げる。「そう。だってこうして会えたのって何かの運命よ。お名前くらいいいじゃない。」「水流橋誠。」淡々をした口調で告げられた名前は珍しかった。「誠ちゃんって言うのね。ちょっとお話しない?私、神崎花よ。よろしく」「私、友達のお見舞いだから。」私は、病室をつばさちゃんに交換して貰ったんだけど、お友達ってつばさちゃんかな。「病室、わかるの?」「…」黙っちゃった。わかんないのかな。「ご案内するわ、着いてきて。」私がそう言うと、誠ちゃんは黙って着いてきてくれた。「ここよ。」そこは、私が前いた病室。「ありがとうございました。」誠ちゃんはそのまま中に入ろうとした今度は止めなかった。きっと、もう会うことは無いから。私はいずれ死ぬのだから。思い入れすぎても仕方ない。「…あの」「何かしら?」「私、また花ちゃんのとこ行きたいです。」言われたのは思いもよらない素敵なセリフ。断る理由はない。「えぇ、いいわよ。私も誠ちゃんにまた会いたい。」私たちはお互い惹かれ合うように出会ったのだ。これが後に、生涯を共にする大親友になるのは先のお話。
