7月 誠side


あれから約3ヶ月が経った。私は今、大病院の前に立っている。親友のつばさが、脳腫瘍で入院しているのだ。つばさは、元気でスポーツ万能、女子バスケ部のレギュラー入りを果たした唯一の1年生。髪型はショートにしていてサラサラの黒髪。私はつばさのお見舞いに来るべくこの病院に参上した。えーと、303号室、303号室…あった!『 コンコン』「はーい」うん、つばさの声だ。私が中に入ると、もう1人の親友、かれんもいた。かれんは気立てがよく、誰にでも好かれる性格で可愛らしい。頭もよく、異性からの視線を集めている学校のマドンナだ。セミロングの栗色の髪を毎日きれいに巻いていてメイクもしている。私がこの2人と一緒にいることに理由はない。自分がいくら劣って見えても、2人といて楽しいから一緒にいるのだ。私は「つばさ、これお見舞いだから。」とオレンジを置いた。「え、いやいやそんな!!お見舞いだなんて大層なものいらないよー!」つばさが大きな声でそういうと、かれんが「いいじゃんつばさ、貰っておきなよっ!せーちゃん気が利くねぇ」いつもの調子の2人に私は少し微笑むと、すぐに帰らなければ行けないことと明日も来ることを伝えた。かれんはピアノの練習があるから、来られないということを伝えていた。

次の日

303は…ここだ『 コンコン』「どうぞ」返ってきた声がつばさでは無いことに気づいたのは、ドアを勢いよく開けたあとだった。中にいたのはお姫様みたいな完璧なルックスの女の子。つばさよりも真っ黒でサラサラの長い黒髪。かれんよりもぱっちりとしていて黒目の大きい輝く瞳。金色の星の髪飾りが、真っ白の少し不健康そうな肌に反射し、小さな顔と高く小さい鼻に影を作っている。「あら…あなたは…」彼女は少し困惑しているようだった。「す、すみませっ…」私があわててドアを閉じようとしたその時、白雪の美少女はか弱く高い綺麗な声で言った。
「待って…あなたのお名前は?」