「翔哉・・・?」
「愛実の信頼を取り戻せるまでに時間がかかるかもしれないけど
これからも俺と一緒にいて欲しい」
そう言って渡してきてくれた指輪は
あの時、婚約破棄をした時に外した指輪で
「もう、この指輪を外させることなんて、しないから」
「翔哉・・・?」
「俺の、嫁になって欲しい。
俺のそばで笑っていて欲しい」
「いいの・・・?」
「あぁ。愛実だけでいい。
これ以上、悲しい思いをさせないから」
「お願いします」
籍を入れた後にされたプロポーズは、新しいマンションの中で
夜景がとてもきれいな部屋だった
翌朝、翔哉はすでに仕事に行く支度をしていたけど
スーツを見ると、昨日買ったばかりのネクタイを付けていてくれて
「それ・・・」
「あぁ。お前の選んでくれたネクタイ。早速つけていくわ」
「ありがとう」
「俺の方こそ」
「ゆっくり休んでろよ?
昨日の今日で疲れてるだろうからな」
そう言うと、玄関まで見送ったあたし
「行ってらっしゃい」
「あぁ。行って来る」
おでこにキスをしてから行ってしまった翔哉
帰ってきてくれると分かっていても
あの時の寂しさと同じ感情は拭えていない
いつか、また言われそうでその恐怖心を煽られている状態のままだ



