「運転くらいできる」
それはそうだろうけど・・・
運転したまま左手は、あたしの右手を握っていて
だけどついた先のマンションは
翔哉が今まで住んでいたマンションじゃなくて
違うマンションで
「ここ・・・」
「ここが俺の新しいマンション。
それと、お前が帰ってくる場所」
あたしが帰ってくる、場所?
「愛実も篠田になったんだ。
将来の事を考えて、ここに引っ越してきたんだ」
そうなんだ・・・
「って言うのは冗談。
ここは仮」
「仮・・・?」
「そ、愛実の卒業に合わせて、新しい場所に引っ越すから」
!?
はい!?
「卒業まで、あと1年だよ!?」
「あぁ。だからそれに合わせて引っ越すから」
何で・・・?
「愛実。なんでって思ってるだろ?」
「うっ」
「今はまだ、愛実も高校生だけど
それでもいつか、俺達の間に子供が出来た時
マンションよりも戸建ての方がいいと思ってるんだ」
そこまで考えてくれてるの?
「伊蕗さんが、1年も待ってくれてるとは思わなかったんだ
最悪の事態までを想定していたけど。
それでも、愛実が今、俺の所にいてくれるなら、それでいいと思ってる」



