「だからこそ、お前の実力を見せてみろ」

「兄貴っ」

「伊蕗さん」

「それまでは、愛実の婚約も保留だ」

「いいの・・・?」

「あぁ。翔哉。お前の父親には何も期待などしていない。
あんなワンマン社長、嫌というほど見て来たからな。
お前がそれを変えてみろ」

「分かりました。
愛実」

「な、何・・・?」

「待っていてくれるか?」

え・・・?

「必ず、迎えに来る。
だから、1年、1年だけ、待っていてくれ」

その言葉を信じていいの?
迎えに来るだなんて、口約束信じてもいいのだろうか?

「もし、待てなかったら・・・?」

「その時は、お前を、奪い取るまでだ」

奪い、取る・・・?

「だけど、ここ(薬指)は俺だけのものだ」

「!?ば、バカ!」

「じゃあな」

"じゃあな"その言葉は、あの時と同じ
別れの時みたいだ・・・

「愛実。俺は、ここに帰ってくる」

「え・・・?」

「だから、1年、ここで俺を待っていてくれ」