日本に帰って来たあたしとお兄様

飛行機を降りて、空港内のテレビに目が行ってしまったのは
三ツ谷家と篠田家の話題だったからだろう

”篠田と三ツ谷グループの”と言ったからだ

篠田って確か翔哉の家だ

「”業務提携を打ち切ると我々の生活はどうなるのでしょう”」

へ?
業務提携、打ち切り?

「やっているなぁ。今頃、アイツの家はドタバタしているだろう」

へ?

「あの家には、分からせてやったんだよ。
俺達を敵に回すとどうなるか分からせてやったんだ」

そうなんだ・・・

「”でも、確か篠田家の息子さんって三ツ谷家のご息女と婚約していませんでしたか?”」

「”そうですよね!でも、婚約しているのなら
提携を打ち切りにしなくても良かったのでは?”」

あたしと、翔哉が婚約を破棄したことすら知らないのだろうか?

「”篠田も確かイタリアで新しい提携先を見つけたという話ですが”」

「”そうみたいですね”」

「”三ツ谷グループとの提携よりは、遥かに低いのではないでしょうか”」

「”低いですか?”」

アナウンサーとコメンテイターの話すことを食い入るように見ていたあたし

「愛実。学園に行くぞ」

「はーい」

空港を出て、お兄様が呼んでいた車に乗り込んだあたしたち

「なんだ」

急にかかってきた電話に出たお兄様

「あ?あの家がどうなろうと、俺達には関係のないことだ。
愛実を泣かせた罪はそれほどまでに重いと言うことだ。
あぁ。愛実と翔哉の婚約破棄のことは、伝えていないんだろう?
いや。俺がこの2人の婚約破棄を流そう。翔哉のイタリアでの見合いも」