「もし、途中で日本に帰りたいと言ったら
伊蕗にぃは、どうするの?」

「その時は、連れ帰る」

連れ帰る・・・か

「日本の学園には、留学としているからな。
お前がどうしても無理だと思ったときは連絡しろ」

「ありがとう」

「いい。お前のためだ」

理事長室を出た後、デザイン科の敷地に入ると
同じ敷地内なのに、この場所だけは、雰囲気も
風景も何もかもが違うように見える

「さすがだ」

「伊蕗にぃ?」

クラスのドアを開けた瞬間。
女の子たちの黄色い悲鳴がクラス中に響き渡った

「”伊蕗様よ!”」
「”後ろの方は?”」
「”伊蕗様の一体何なの!?”」
「”みのり様ではないのですか?”」

みのりちゃんの方が身長もあるし
スタイル良いもん

「”このクラスに、俺の妹を入れる”」

「”伊蕗様の妹・・・?”」
「”妹なんて、いらしたの?”」

この馬鹿にしたような目。
散々見てきた。品定めをしているような目つき

「馬鹿馬鹿しい。どこも、あたしを見てくれる人なんていないに決まってる」

「”愛実だ。よろしくしてやってくれ。
それと、レイ”」

「”何だよ?”」

「”お前に相談がある。少し付き合え”」

そう言って出て行ってしまった伊蕗にぃ
敵陣にあたしだけを置いていかないで欲しかった

少しして、レイと言われた男の人と
一緒に戻って来た伊蕗にぃ

「愛実。一応、婚約の話は通している。
だが、ここには日本の寮みたく、一緒の部屋はないから
女子寮の1人部屋にする」

「いいの?」

「当り前だろう?」