ガシっと後ろから掴まれた腕

「何で、ここにいるんですか」

振り向いた先にいたのは、翔哉で
心なしか焦っているような顔をしている

「お前に言う必要があるのか?
愛実は、もう、お前の婚約者ではないんだ。
俺が、妹を連れて”留学先”に連れて行くことに何が問題がある」

「留学?」

「あぁ」

「それとこの便と」

「愛実の留学先はイタリアだからな」

「え?」

「愛実は、イタリアでデザインの勉強をするために行くんだ。
愛実は三ツ谷には欠かせないからな」

「え?」

「当り前だろう?それにお前
向こうで”見合い”をするそうだな?愛実との婚約を破棄してまで
する見合いなのか?」

「それは・・・」

「まぁ。新庄社長の考えだから、俺には考えたくはないがな」

「・・・」

運よく流れたアナウンスに従って
飛行機に乗ったあたしと伊蕗にぃ

「良かったの?」

「何が?」

「あんな・・・」


「嘘ではないぞ」

へ?嘘じゃないの?