踊り手、なりませんか?

いろはに人生帳を踊り、舞とエマは「ありがとうございました!」とぺこりと頭を下げる。こうしてダンスをするのは久々で、舞の胸の興奮は収まらなかった。

「舞、すごくダンス上手!」

「プロみたいだったよ!」

アマリアとイーゴリが言い、舞は「ありがとう」と微笑む。これできっと踊るのは最後だ。

「舞、やっぱり上手だったんだ」

そう言うスティーブンに、舞は「私なんて……」と目をそらす。

「俺、二人で踊ってみたいんだけど……」

スティーブンの言葉に、舞の心が揺れた。



ダンスの発表会から早二ヶ月、舞はすっかりダンスとは離れたいつもの日常に戻っていた。

勉強して、友達と話して、スティーブンとデートをする。刺激は少ないかもしれないが、こんな平穏な日々が続けばいい。舞はそう思いながら今日も学校へ向かった。

二人で踊ってみたい、というスティーブンの言葉に舞は返事をしないままだ。しかし、それに対してスティーブンは何も言ってこないので安心している。その方が楽だ。