踊り手、なりませんか?

「相変わらずラブラブだね〜」

「本当、羨ましい!私もそんな彼氏がほしいな〜!」

スティーブンと同じダンス部のアマリア・サンチェスとイーゴリ・トルスマイに声をかけられる。アマリアはスペイン人でイーゴリはロシア人だ。

二人にからかわれ、舞は恥ずかしさで何も言えなくなる。しかし、スティーブンは「俺の彼女、可愛いでしょ?」とニコニコ笑顔だ。

「そういえば、今日ってダンスの発表会だよね。二人とも練習した?」

アマリアの言葉に、スティーブンとイーゴリは「もちろん!」と頷いた。舞はもう仮病を使って休みたいなと思いながら歩く。足が妙に重くなった。

今日の体育は、自分たちで好きなチームやペアを作ってのダンスの発表会だ。舞はスティーブンから「一緒に踊らない?」と誘われていたが断り、エマと踊る。

「舞、頑張ろうね!」

「う、うん……」

ぎこちない笑顔を見せる舞を、アマリアとイーゴリが不思議そうな顔で見ていた。