踊り手、なりませんか?

「エマ、スティーブンがごめんね。前も確か会場に忘れ物したんだっけ?」

舞が謝ると、エマは「まあいつものことだからね」と苦笑する。スティーブンは目をそらしていた。

「まあ、私としてはガールフレンドが来てくれたらスティーブンの忘れ物もなくなると思うんだけど」

エマがそう笑いながら言うと、スティーブンも「いい考え!」とこちらを見る。しかし、舞は笑えなかった。



午前の授業とお昼休みが終わった頃、舞の心は憂鬱になっていた。

今日の午後の授業は体育。しかもダンスの授業だ。ダンスの授業のたびに舞は逃げ出したくなる。早苗に申し訳なく、泣きたい気持ちになるのだ。

しかし、真面目に授業を受けなければ成績に響いてしまう。仕方なく舞は着替えを済ませ、体育館へ向かった。

「あれ、舞じゃん!一緒に行こうよ!」

廊下を歩いていると、スティーブンに手を握られる。舞は「恥ずかしいよ……」と言ったがスティーブンは手を離してはくれなかった。仕方なく、手をつなぎながら体育館へ向かう。