しかし、二年前に早苗は交通事故に遭ってしまった。命は助かったものの、車椅子での生活となり踊り手を引退することになってしまったのだ。

早苗が踊れないのに自分が踊ったら早苗を傷つけてしまう、そう思った舞は「活動を休止する」と言い二年の月日が流れている。

「早苗ちゃんともう一度踊れたらいいのに……」

叶うことのない願いを呟き、舞は学校へ行く支度を始めた。



制服に着替え、舞が家を出ると「おっはよ〜!!」と誰かが思い切り抱きついてきた。

「スティーブン、重いよ……」

舞はアメリカ人の彼氏であるスティーブン・ブラウンに言う。しかし彼は「休日会えなくて寂しかったんだもん」と言って離してくれない。いつも休日はデートをしているのだが、昨日はスティーブンの部活だったためデートはしていない。

「大会、どうだった?」

「もちろん優勝できたよ!うちのチームは最高のチームだからね!」

眩しいほどの笑顔を向けるスティーブンに、舞は切なげな笑顔しか向けることができない。スティーブンがダンス部に入っているからだ。