健吾が選んだジュエリーショップは、真珠の有名店。
 
「6月の誕生石でしょう。」

健吾を見上げる絵里加に、ちょっと得意気に微笑む。
 

甘く微笑む絵里加と二人、あれこれ指輪を選ぶ。


健吾の心は、この日までの長い道のりを思い 幸せに震えていた。
 

二人で選んだ指輪は、ホワイトゴールドに小さ目のパールが付いたリング。

パールの回りをダイヤが囲んでキラキラ光る。

絵里加の白く細い指に、可憐なパールはぴったりで。
 

「いいね。絵里加、よく似合うよ。」笑顔の健吾に、
 
「本当にいいの?」と、絵里加は遠慮がちに言う。

健吾は大きく頷いて 会計をした。
 

指輪はそのまま嵌めて、箱を受け取る絵里加。

何度も掌をかざして、嬉しそうに指輪を見つめる。
 
「ケンケン、ありがとう。すごく嬉しい。」
 
「絵里加に、喜んでもらえて、俺も嬉しいよ。」

絵里加の肩を抱き寄せて、健吾も言う。
 

「ここにケンケンがいるみたい。ずっと一緒に。」

絵里加は 左の薬指に嵌めた指輪に 右手で触れながら言う。


そっと上目使いに。
 
「絵里加、可愛い。」健吾は感動していた。

贈り物は 受け取る側の態度で 価値が変わるから。


絵里加になら、何を贈っても惜しくないと思った。