幕間の休憩では 緊張と興奮が入り混じりみんなが 少しずつ饒舌で。
 
「絵里加、一番綺麗でしたね。主役より目立っていますね。」

健吾が興奮した声で言う。

健吾の両親も、大きく頷く。


「大げさだよ。」軽く否定する父も、嬉しそうに微笑む。
 
「次のソロが心配だわ。」母は、まだ不安そうに言う。
 

「絵里ちゃん、本当に綺麗。お兄ちゃんには、もったいないね。」

一緒に来てくれた、健吾の妹も 少女らしい感想を言っていた。
 

2幕、3幕は休憩無しで みんなが華やかな舞台に集中した頃 絵里加のフロリナ王女が登場する。
 

淡いブルーの衣装と ティアラに着替えた絵里加は、可憐さが増していた。


観客席の、軽いざわめきで迎えられた絵里加。

首の傾げ方や 指先の動きまで すべてが可憐で絵里加に合っていた。


絵里加は、曲と一体化して 軽やかに踊っていく。


青い鳥役のダンサーとのパドドゥも見事だった。

踊り終わって下がる時、大きな拍手と歓声で送られる。
 


カーテンコールでも、絵里加はたくさんの拍手を頂き 見ていた家族みんなを 満足させてくれる。