いつの間にか、母と座って話し込む。
 

「どういう事?楽しければ良いじゃない。」
 
「会っている時は 楽しいけれど、会えなくても 案外平気なの。一生懸命、楽しむ努力をして。恋って、そういうものだと思っていたの。」

母の話しに、絵里加は大きく頷く。
 
「絵里加もそう思っているわ。違うの?」
 

「パパとは、違ったわ。一緒にいるだけで楽しいの。努力なんていらないの。デートして別れると、その途端に会いたくなるの。パパと一緒なら、何をしても楽しいし。何もしなくても楽しいの。」

母は、少女のような表情をする。

そういう気持ちを 知らない絵里加は 不思議そうに母を見る。
 

「好きっていう気持ち、抑えても溢れ出てしまうのね。相手の条件とか、計算じゃなくて。自分が好きっていう気持ちが、大事なのよ。」

母は、絵里加の目を見る。
 
「絵里加、まだそんな気持ち、なったことないわ。」
 
「自分が好きって思う人が、同じくらい自分を 好きでいてくれる。それが運命の人じゃないかな。お祖父様とお祖母様も、タッ君パパ達も。みんな運命の人なのよ。」

母は、ゆっくりと続ける。