中学に入学するとすぐに、絵里加は注目の的になった。

『B組の廣澤絵里加ちゃん、可愛いなあ』『彼氏、いるのかな』『俺、告白しちゃおうかな』

上級生や、外部から入学してきた男子が 集まって絵里加のことを話す声を、健吾はあちこちで聞いた。
 

絵里加は小学生の頃から、特別な女の子だった。

顔が可愛いだけでなく、性格も安定していた。


素直で思いやりがあって、ニコニコと明るい。

絵里加の回りは、いつでもキラキラと輝いていた。
 


6年間、同じクラスで過ごした健吾は 絵里加が不機嫌な表情や イライラしている姿を 見たことがない。


絵里加はいつも優しかった。

誰かが やりっ放しにした物を 片付けるとか。

荷物を持っている人がいると ドアを開けてあげるとか。

そういう事が、自然にできた。


絵里加は、たくさんの友達に囲まれて いつも楽しそうに笑っていた。