教室に着いて いつものように 別々に席に着く。

ひとみの隣に座ると 前の席から陽子と亜弥が振り返る。

意味あり気な笑顔で。
 
「絵里加。今朝は幸せそうに、ホームを歩いていたね。」

と陽子に言われて、
 
「えっ。見ていたの?」

絵里加は、はっとして 陽子を見る。


ニヤニヤと笑う陽子は、
 
「あんまりラブラブだから、そっとしておいたの。」と言う。
 

「おととい、ケンケンとデートして。付き合うことになったの。」

絵里加は、頬を染めて小さく言う。
 

「やったね、絵里加。」
 
「いいなあ。」
 
「一人だけ、ずるいよ。」


三人は、絵里加を小突きながら 笑顔で言う。
 

「ケンケン、昨日 うちに来て パパとママにも挨拶してくれたの。」

絵里加が言うと 三人は “えーっ!” と声を出す。
 

「ケンケン、真剣だね。」

ひとみの言葉に、他の二人が頷く。
 

「絵里加が、ママに嘘をついて出かけるのは いやだからって。」

絵里加の言葉に、三人の歓声が上がる。