朝の渋谷駅。

ホームに向かう途中で、後ろから肩を抱かれる。
 

「絵里加、おはよう。」

一瞬、ビクッとし、でもすぐに健吾だとわかる。
 
「おはよう。」

絵里加も 健吾を見上げて 肩に寄り添う。
 

「昨日は、ごちそう様。絵里加って、ちゃんとお手伝いするんだね。」

健吾は、笑顔で言う。
 
「そうよ。絵里加、お料理上手だよ。今度ケンケンに、作るからね。」

絵里加は、明るく輝くような笑顔で。

健吾はその笑顔を眩し気に見つめる。
 

「絵里加、ますます可愛くて。お料理よりも、絵里加を食べたいよ。」

健吾は、フッと笑う。

絵里加も、その笑顔が大好きで。
 

「絵里加、美味しくないよ。あんまりお肉ないから。」

ちょっと照れて言ってしまう。
 
「大丈夫。絶対、美味しいから。」

健吾にギュッと抱かれて歩く、朝のホーム。


初夏の光と同じくらい、絵里加も輝いていた。