「運命の人ねえ。ママは、いると思うよ。ほら、運命の人に出会えたから。」

母は、いたずらっぽく笑う。

絵里加は、ため息をつく。
 


「絵里ちゃんが大人になったから話すけれど、ママはパパと再会する前 別の彼がいたの。いい人だったけれど、パパに対する気持ちとは、全然違ったわ。」

母は 時々大胆な事を言う。
 

「本当?ママ、モテたんだ。でも、どんな風に違うの?」
 

「モテた訳じゃないけど。絵里ちゃんくらいの年頃って恋に憧れるじゃない。ママも、告白された人で 性格が合いそうな人と付き合ったの。それなりに楽しかったし。恋って、こういうものなんだって思って。でも、それだけなの。」