「絵里ちゃん。ゴールデンウィーク、後半に軽井沢行くわよ。絵里ちゃん、大丈夫?」

母に言われて、絵里加は 笑顔になる。
 
「もちろん。買い物もしたいし、いつものパスタも食べたいわ。ねえ、ママ。軽井沢で運転の練習、させてくれる?」

家族との旅行は楽しくて、絵里加はとても楽しみだった。

昼間の亜弥達との会話を思い出し、少し胸が痛む。
 

「タッ君達も行くから、運転教えてもたったら。でも軽井沢で乗れても、東京は怖いわよ。」

母は優しく言う。
 
絵里加は、母が大好きだった。

美人で上品で、家庭的で。家族を、とても大切にしている。

いつも穏やかで優しい。自分も、いつか母のようになりたいと思う。
 


「ねえ、ママ。パパとママみたいな運命の人って、本当にいるのかな。」

母と一緒に、夕食の準備をしながら、絵里加は聞く。
 

「絵里ちゃんも、恋愛願望が出てきたの?もう、そういう年なのね。」

母は、優しい笑顔で言う。
 
「そういう訳じゃないけど。」

絵里加は、少し口ごもる。