両親に話したことで、絵里加は心のつかえが下りた。

健吾のことが好きでも 一緒に過ごす為に 嘘をつき続ける自信がなかった。

最初に嘘をついてしまうと、どんどん嘘が重なる。


そして、時間が経つほど 本当の事を言い難くなる。

そういう小さなことが、徐々に二人の溝になるから。
 


「ケンケンのこと、ママは覚えていたよ。」

可愛いフレンチレストランで、健吾と向かい合う。

デートスポットにもなっている店内は カップルでいっぱい。


健吾に連れられて 店に着いた時 絵里加は健吾を見つめる。
 
「絵里加、彼ができたら ここに来てみたかったの。」笑顔の絵里加に、
 
「でしょう?そう思った。」健吾が得意気に微笑む。
 

「どうしてわかったの?」絵里加が聞く。
 
「俺も来たかったから。」健吾は、フッと笑う。

やっぱり絵里加は、俯いてしまう。
 

心の幸せは、体中を輝かせる。

絵里加は、すれ違う人が振り返るくらい キラキラと輝いていた。


両親に話せたことで、さらに絵里加の輝きは増す。

愛されて育った絵里加の、曇りのない美しさ。
 

健吾は、そんな絵里加を誇らし気に見つめる。

絵里加を満たしていることが、健吾に余裕と自信を与える。

健吾の笑顔も幸せに輝いていた。