人が増えてきた神社の 瑞心門だけをお参りして 二人は坂道を降りる。

さっき登った時と 一時間も経っていないのに 坂道は登る人で溢れていた。
 

「絵里加、迷子になるなよ。」健吾が笑う。
 
「絵里加の手、離さないでね。」

絵里加は健吾に寄り添って、坂道を降りる。
 

やっと参道を抜けて 広い道に出た時 二人は声を上げて笑ってしまう。
 

「すごい人だね。」
 
「竹下通りみたいだね。」

そんな会話も楽しくて。

自然に笑顔がこぼれてしまう。
 


「お腹空かない?」健吾が聞く。

お昼には少し早いけれど。結構歩いたから。
 
「ペコペコ。」絵里加は笑う。
 
「ちょっと早いけど、中に入ろうか。」