絵里加の胸は高鳴る。 もう大人なのに。でも、初めてだったから。 控えめに健吾の手を握ってみる。 そっと健吾を見上げて。 健吾はフッと笑ってくれた。 絵里加を惹きつけた、あの笑顔で。 「いいよね。」と小さく言う。 「うん。」絵里加も答える。 「俺達、中学生みたい。」照れる健吾に、 「絵里加も、同じこと思った。」と笑う。 間もなく20才を迎える。絵里加の恋は、ゆっくりと始まっていく。