入ってきた電車に乗る時、健吾は必ず絵里加を先に乗せる。 そんな小さな気配りも、絵里加は嬉しかった。 並んで座って 話しながら 電車の揺れで肩が触れる。 絵里加は そのまま健吾に 寄りそっていたい衝動を抑える。 小さくため息をついて 体勢を戻す。 健吾を見上げながら。 膝の上から滑った絵里加の手を、そっと健吾は握る。 初めてのふれあい。 熱い瞳が交差する。