「絵里加を紹介してって言われたの。会ってみる気、ある?」

友達に言われても、絵里加は やんわりと断ってしまう。
 
「ごめんね。今、バレエの公演前で忙しくて。ちょっと無理かな。機会があったら、また声をかけてね。」
 

小学校から一緒のお友達は そんな絵里加に苦笑する。
 

「絵里加、彼 欲しくないの。」亜弥が言う。
 
「絵里加は、ファザコンだから。しかも従兄妹コンプレックスだし。身近に素敵な男性が、いすぎるのよ。」ひとみも笑う。
 

「そんな事ないよ。みんなだって、彼いないでしょう。」絵里加は、頬を膨らませる。
 
「絵里加、モテるのにもったいないよ。それだけの美人が泣くよ。」

陽子の言葉に、他の2人も頷く。
 

「美人じゃないし。彼も、まだいらないもの。」


絵里加が言うと、みんなは やれやれという顔で笑った。