お盆休みの暑い中、住宅展示場は意外と混んでいた。
いくつかあるハウスメーカーを 順番に見ていく。
外観が気に入ったメーカーは、中に入ってみる。
「どこのメーカーで、どんな間取りにするかを決めなさいって言われているからね。」
健吾も絵里加も若すぎて 何をどうすればいいのかさえ わからない。
モデルルームは広すぎて、現実味がないと言われる。
でも健吾の家も 絵里加のお祖父様の家も 同じくらい大きい。
絵里加の家の部屋数は少ないけれど 各部屋は広く、モデルルームにも見劣りがしない。
先客がいるメーカー。
若い二人に対応しないメーカー。
出てきた営業マンが 露骨に嫌な顔をするメーカー。
どう見ても大学生の二人は 本当に家を作るとは思われない。
「俺達、舐められているね。損しているとも知らないで。」
健吾が笑いながら言う。
「ほんと。良いお客さんなのにね。」
尊大な態度や 高圧的な態度をしない健吾。
絵里加はそれが とても嬉しかった。
そして、そういうメーカーでは 逆に間取りをゆっくり見学し 参考にできた。