「ママ。絵里加のスマホで写真撮って。ケンケンに送るから。」

母に 汚す前に脱ぎなさい、と言われた絵里加が言う。

数枚、撮った写真を確認して 絵里加は振袖をハンガーに掛ける。


「絵里ちゃんは、何でもケンケンだから。」

と伯母様に笑われて。
 

「ママ、後で、着物の畳み方、教えてね。」

と言いながら、みんなにお茶を淹れていた絵里加が、
 

「ママも、何でも智くんだったんでしょうお祖母様。」と聞く。
 


「絵里ちゃん。何言っているの。」

母が慌てた顔で言う。

絵里加はお祖母様 伯母様と三人 笑顔を見合わせて
 

「絵里加、聞いちゃったもの。ねえ。」

と言った。クスクス笑う三人に、
 

「お母様。絵里加に変な事、言わないで。」

と母は、焦って言う。
 

「変な事は言ってないわ。本当の事だけよね。」

と伯母様に同意を求める。
 

「本当のことが、変な事だから。」

と母は、慌てて意味不明な事を言う。


みんなは声を上げて笑う。