女性四人で 京都まで行ったこと。

友禅作家さんの工房を覗いたこと。

みんなで色や柄を選んだこと。


一枚の振袖にたくさんの思いが詰まっていた。


鏡の前で、着物を羽織る絵里加に 母は涙を抑えられなくなる。

そっと俯いて、目頭を押さえる母に
 

「ママ。泣かないで。」

と絵里加も涙を溜めて言う。
 

「ごめんね。なんか感激しちゃった。」

母は静かに言う。

絵里加の二十年が蘇って、胸が熱くなっていた。