絵里加の成人式の振袖が届いたのは、仲間達と海に行く前の日だった。

配達してくれたデパートの人が 母と絵里加の前で 丁寧に梱包を開く。
 

「わあ。素敵。思った通りね。」

絵里加は歓声を上げる。

お祖母様の希望で 白地に絵付けからオーダーした振袖。


絵里加が大学に入ってすぐに 京都まで行って 作家さんと相談して決めた柄付。
 

「ほんと。絵里ちゃん、羽織ってみる?」

母に言われて、絵里加は着物を掛ける。

上品なピンクのグラデーションの中 鮮やかな花が舞う。

大小さまざまな たくさんの花。


豪華で、上品で、可憐で。


絵里加にぴったりの柄に仕上がっていた。
 

「よく似合うわ、絵里ちゃん。」

豪華な着物は、絵里加の美しさを際立たせる。
 
「本当にお美しい。一枚、写真をいいですか。納品の確認を、作家さんに送ります。」

デパート外商部の担当者も、絵里加の美しさに息を飲んでいた。