「絵里ちゃん達が生まれてからは 二人を良い子に育てることが 恩返しだからって言っていたわ。おかげで絵里ちゃんは こんなに良い子だものね。」

と言ってくれた。
 

「そんなことないよ。絵里加 いつまでたっても甘えん坊だもの。」

絵里加は、少し照れて俯く。

父と母の、知らなかったことが聞けて とても安心していた。
 

「絵里ちゃんは、とても優しい良い子よ。だからケンケンのご両親も、ケンケンと結婚してほしいと思っているのよ。」


お祖母様の言葉は、とても嬉しかった。
 
「絵里加ね、ケンケンとは ずっと一緒に居たいけれど 生活力がないから。結婚なんて、まだ早いって言われるかと思ったの。」
 

「絵里ちゃんに、悪い虫が付かないうち ケンケンのお嫁さんにしたいのよ。」

伯母様が言う。
 
「タッ君ママ。絵里加、虫なんか付かないよ。」

絵里加は膨れて言う。

その可愛い顔に二人は笑ってしまう。
 

「絵里ちゃん、可愛いから。ケンケンのお父様は心配なのよ。それに、絵里ちゃんもママみたいに、ケンケンの為に努力できる人だってわかったのよ。」


伯母様の言葉に 絵里加は 小さく息をつく。

幸せと、甘い恥ずかしさに。
 

「今はね、親に甘えていいんじゃない。いつか絵里ちゃんが ママになった時に 子供に同じことをしてあげれば。今のパパみたいにね。」


お祖母様は 優しく言ってくれる。

絵里加は笑顔で頷く。


その花のような笑顔を 手放す寂しさを お祖母様も伯母様も隠していた。