愛を交わした後の朝食は、美味しくて。

いつもより沢山食べる二人。
 

「絵里加、ブドウ頂戴。」

と健吾は 口を開ける。

一粒つまんで 健吾の口にあげる絵里加。


指が健吾の唇に触れただけで、絵里加の中を熱い電流が走る。


「絵里加には、ライチあげるね。」

健吾は剥いたライチを、絵里加の口に入れてくれる。


絵里加は 健吾の指を捕えて 優しく吸ってしまう。


健吾は、切ない目で絵里加を見て
 

「駄目でしょう、絵里加。知らないよ。」と言った。

後に続く “欲しくなっても” は、言わずに。

絵里加も、熱い瞳で健吾を見てしまう。


人がいる空間で、密やかに交わす愛の信号。


それが次の愛を、熱くすることも知らずに。