海外の解放感なのか、二人きりの安心感なのか。

絵里加は、今までに感じたことのない欲望で 振向いて健吾の唇を求めてしまう。
 

「どうしたの。」

熱く 激しいキスの後、健吾がそっと言う。
 
「わからないの。絵里加、急にキスがしたくなったの。」

恥ずかしそうに俯いて、そっと言う絵里加。
 

「大丈夫。何も心配しないでいいよ。」


健吾の声に顔を上げて、もう一度唇を重ねる。




着替えた二人は、夕食前に少しビーチを散歩する。
 
「海、綺麗だね。江の島とは違うね。」

絵里加の手を引いて歩きながら、健吾が言う。
 
「そんなこと、江の島に失礼だよ。」

健吾を見上げて、絵里加が言う。

その可愛い顔に、健吾がフッと笑う。
 

「まあ、江の島も頑張っているからね。」
 
「そうだよ。ケンケンと絵里加の、初デートの場所だから。」

むきになって言う絵里加。

可愛くて、頭をそっと撫でてしまう。

絵里加は、口をすぼめて健吾を見上げる。
 

「キスしていい?」その唇に触れたくて、健吾は聞いてしまう。

絵里加も小さく頷く。

夕暮れのビーチは、人影も少なくて。

最初はそっと、軽く触れて。

でもやっぱり、熱いキスをしてしまう。
 


「絵里加ね、ケンケンのキス、好き。」

唇を離した絵里加が言う。
 
「いっぱいキスするよ。人がいてもね。」

頷く絵里加に、健吾はフッと笑って言う。