食事を終えて、外に出る。

やっと暗くなった横浜の街に、イルミネーションが輝く。

絵里加の肩を抱いて、汽車道を歩く。


瞬く観覧車の光は、二人を無口にしてしまう。

運河を走る遊覧船を見送って、健吾は絵里加をベンチに誘う。
 

二人は、ただ静かに夜景を眺める。

お互いが同じ思いと戦っていて、それをわかっていた。

何か言ったら。少しでも動いたら、一歩踏み出してしまう。

絵里加の肩を抱く健吾の指が そっと滑った時 絵里加は健吾の胸に顔を寄せる。


愛おしさが溢れて、健吾は絵里加を抱きしめる。


両腕で絵里加の頭を、自分の胸に抱き寄せて。
 

しばらく じっと抱き合って お互いの鼓動を確かめあった後で 健吾はそっと絵里加の顔を持ち上げた。

一瞬、潤んだ目で健吾を見て 絵里加は静かに目を閉じる。


健吾は、優しく唇を 絵里加の唇に落とす。

最初はそっと触れるだけで。


一度離して、すぐにまた触れてしまう。熱く、長く。


絵里加の柔らかな感触は、健吾を捉えて離さない。

絵里加の体から 徐々に力が抜けていき 肩を抱く健吾の腕に 重みがかかる。


今まで遊びで交わした、どのキスとも違う。

我を忘れるような昂りに 健吾はそっと唇を話す。



ブレーキが効くうちに。