「や、八雲さん、今私のこと──」
「いいから、早くしろ」
けれど八雲は、感動には浸らせてくれない。
花は仕方なく八雲に言われるがまま、両手のひらを差し出した。
「こ、こう……ですか?」
「ああ、しばらくそのままでいろ」
すると次の瞬間、花の手の上にかざされた八雲の手のひらが光って、"あるもの"が現れた。
そうして八雲はそれを、花の手の上に静かに乗せる。
「……受け取れ」
「え……。これ──」
突然のことに花は驚いて目を見張った。
そんな花を前に八雲は耳の先を赤く染めると、くるりと踵を返して背を向ける。
「この間、お前と大楠神社に行ったときに土産物屋のワゴンに立ち寄っただろう。そのときに偶然目に止まったから買ってみただけだ。……俺からのボーナスだと思って、受け取れ」
相変わらずの、ぶっきらぼうな物言いだ。
そんな八雲が花に渡したのは、幾何学模様の美しい寄木細工で作られた【手鏡】だった。
鮮やかな葡萄色と、目の覚めるような青貝色。加えて紅梅色の三色が、見事に木の木目に馴染んで伝統と近代とを結びつけた市松模様が美しい。



