「……黙れ、ボロだぬき」
花は思わず頬を赤らめたが、八雲は呆れたようにそう言うと、さっさと踵を返してつくもの中に戻ろうとする。
「あ……っ、あの……っ。八雲さん!」
そんな八雲を、花が慌てて呼び止める。
すると八雲はその場でピタリと足を止めて、低く重い声を出した。
「……なんだ」
「す、すみません。それと、あの……色々と、ありがとうございました」
花からの突然の謝罪とお礼に、八雲が振り返って訝しげに眉根を寄せた。
「あと……昨夜も、薙光さんが話しを聞いてくれるように間に入ってくださって、本当にありがとうございました」
花自身も、もうどれとどれに謝って、お礼を言っているのかわからなくなっていた。
それでも今、どうしても八雲に「ありがとう」と伝えたかったのだ。



