(私には、手を差し伸べてくれた人がたくさんいたから……)
幼くして母を亡くした花を近所の人たちはよく可愛がってくれたし、困ったことがあればできる範囲で手助けもしてくれた。
対して八雲は周囲の人々から虐げられただけでなく、亡くなった父の代わりに十三歳という若さでつくもの主人となり、今日までここを立派に守り続けてきたのだ。
その苦労がどれほどのものだったか花にはやはり計り知ることはできないが、きっと熱海の道のように平坦ではなかったに違いないということだけは想像ができた。
同時に花は、八雲の徹底した他者に対する距離の置き方や、弱さや甘さを見せない態度と言動について、ようやく納得がいった気がした。
八雲はそうして、今日までつくもを守ってきたのだろう。
今日までずっと──そうすることで、自分自身の心が折れないように、奮い立たせてきたに違いなかった。



