「どれもすごく綺麗だし、可愛いですね……」


 思わずしゃがみ込んで、じっくりと商品を眺める花の隣で、八雲は店主の主人と何かを話し込んでいた。


「ありがとう。私はこの、寄木細工独特の幾何学模様に魅了されてね。日本の伝統工芸でありながら、より多くの人に手に取ってもらえるものが作れないかっていつも模索してるのよ」

「──お買い上げ、ありがとうございます」


 そのとき、隣の八雲が何かを店主の主人から受け取った。

 花は弾かれたように顔を上げて八雲を見たが、八雲は既に購入したものをボディバッグの中にしまいこんだあとだった。