熱海温泉 つくも神様のお宿で花嫁修業いたします

 

「え……と、一応、まだ夫婦ではない感じです」


 まだ、大楠神社からそう離れていない。

 いつ、どこでどんな神様が聞いているかわからないと考えた花は、苦笑いを零しながら質問に答えた。


「あら、そうなのね! でもこんな色男と結婚できるなんて羨ましいわぁ」


 元気な奥様だ。バンバン!と肩を叩かれた花は、ほんのりと頬を赤く染めながら再び苦笑した。


「こちらのお店は、熱海の名産品を売ってるんですか?」

「まぁ、そういう感じのものも売ってるけど、基本的には寄木細工をベースにして私達が作った工芸品を扱ってる感じ。だから、どれもオススメの一品よ」

「寄木細工……」


 花も名前だけは聞いたことがある。

 確か、熱海からそう遠くない箱根の伝統工芸品として有名なものだ。

 花が以前テレビで見た寄木細工は小さな箱だったが、ここのワゴンに並んでいるのは箱だけではなく、アクセサリーやコースター……食器を運ぶためのトレーなど、多種多様なものだった。