(八雲さんは、やっぱり本当はすごく優しい人だよね……)
また、花の心臓がトクトクと甘い音を奏ではじめた。
それに気づいた花自身は膝の上で拳を握りしめると、邪念を振り払うように瞼をきゅっときつく閉じた。
(確かに、八雲さんは優しい。優しいかもしれないけど──)
基本的には無愛想なのは変わらない。
何より、不倫未遂のことをからかわれたりと、所々で花の弱みをついてくるのも確かだった。
『私は花以外の女性を妻に娶る気はありませんし、今後も花以外の女性をつくもに迎えるつもりもございません』
その反面、先程のように弁天岩の暴言から庇ってくれたりと、花を本物の嫁候補のように扱うときもある。
八雲の言葉を思い出した花は、またボッ!と火を吹いたように顔を真っ赤に染め上げた。



