「熱い湯がかかっただろう。火傷跡にはなっていないか?」
再度丁寧に尋ねた八雲の言葉に、ようやく何を言われているのか理解した花は、「ああ!」と慌てて相槌を打った。
八雲は傘姫が宿泊しに来たときに、ぶつかった弾みで花の足に熱い湯がかかった件のことを言っていたのだ。
あのときは八雲がすぐに足を冷やす対応をしてくれたおかげで、花の足には火傷の跡も残らずに済んだ。
「全然大丈夫です! 逆にご心配をおかけして、すみません……」
紅茶をテーブルに置いた花は、座ったままで改めてペコリと頭を下げた。
(でも、あのときは、ちょっとビックリしたな……)
もちろん熱い湯にも驚いたのだが、何より八雲でも、あんなに慌てることがあるのかと、そちらのほうが驚きだった。
それにまさか、自分のためにあんなに必死になってくれるなんて──と、花は改めて、八雲の優しさに気付かされた。
「大丈夫ならいい。けれどまたああいうことがあったときには、まずは自分の身体を優先しろ」
そう言って、再び甘酒のカップに口をつけた八雲を、花はこっそりと盗み見た。
長いまつ毛が目元に影を落としている。



