「とりあえず、すごい神社なんだってことはわかりました。でも、その大楠神社に、なんで私が八雲さんと一緒に行かなきゃいけないんですか?」


 花の問いに、ぽん太と黒桜が不自然に目を泳がせた。

 その反応を見て思わず目を細めた花は、疑いの眼差しをふたりへ向ける。


「……もしかして、また嫁うんぬんの話ですか?」


 このふたりは花がつくもに訪れてからというもの、なんとかして花を八雲の嫁にしようと企んでいるのだ。

 もちろん今は花自身も地獄行きを避けるために、自ら嫁候補役を買って出ているが、このふたりはあわよくばそのまま花を、八雲に嫁がせようと考えているのが見て取れた。


「まさか……そこに行ったらいきなり正式に結婚! とかじゃないですよね?」


 さらに険しく目を細めた花を前に、ぽん太は「いやいや」と慌てた様子で首を横に振った。