「……申し訳ありません。せっかくのお料理が冷めてしまいますね。本当にありがとう、いただきます」
涙を拭いた傘姫は、そう言って微笑むと改めて両手を合わせてナイフとフォークを手に取った。
窓の外では冷たい雨が木々を濡らし続けている。
花は向かい合って食事をするふたりの姿を、目に焼き付けるように眺め続けた。
♨ ♨ ♨
「ありがとうございました。またのお越しを、心よりお待ちしております」
翌朝も、しぶしぶと雨が降り続けていた。
花は傘姫が差してきた和傘を持って、お見送りに出ると、改めて傘姫に向かって頭を下げた。



