熱海温泉 つくも神様のお宿で花嫁修業いたします

 


「……申し訳ありません。せっかくのお料理が冷めてしまいますね。本当にありがとう、いただきます」


 涙を拭いた傘姫は、そう言って微笑むと改めて両手を合わせてナイフとフォークを手に取った。

 窓の外では冷たい雨が木々を濡らし続けている。

 花は向かい合って食事をするふたりの姿を、目に焼き付けるように眺め続けた。



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「ありがとうございました。またのお越しを、心よりお待ちしております」


 翌朝も、しぶしぶと雨が降り続けていた。

 花は傘姫が差してきた和傘を持って、お見送りに出ると、改めて傘姫に向かって頭を下げた。