「そしたら、ぽん太さんの言うとおり、洋食の肉料理で考えてみようか?」
ちょう助が言うと、花はまた「うーん」と腕を組みながら首をひねった。
「洋食の肉料理っていうと、それはそれでまた幅広いような気も……」
「ああ、それならその文豪たちに尋ねてみましょうか」
「え?」
「その、熱海の洋食に舌を唸らされた文豪たちから、何かヒントを得られるかもしれません」
それは一体どういうことですか──と、花が尋ねるより先に、黒桜はまた両手を開いて何かをぶつぶつと唱えはじめた。
「え──っ!」
すると今度は黒桜の手のひらの上に、黒くて分厚い辞書のようなものが現れた。
白い光を放つそれは、黒桜の唱える呪文のようなものに反応してパラパラと勝手にページが捲られていく。



