「あ、あのっ。なんだかそれって、すごく変な感じがするんですけど……!」
「変な感じ、とは?」
花が思わず声を上げると、黒桜がキョトンとして首を傾げた。
「いや、その……。もちろん、代々続くものを守っていかなければいけない使命感?みたいなものがあるのもわかるんですけど……。でも、それを理由に結婚するのは変だし、そもそも結婚して家を守り支えていくのって、それこそある程度の覚悟と当人同士の気持ちがなきゃできないことですよね?」
真っすぐな花の言葉を聞いた黒桜は驚いたように目を見開き、反対にぽん太は緩やかに目を細めて口角を上げた。
「だから八雲さんが嫁探しをしないのも、本当はそういうことに疑問を持っているからじゃ──」
「井戸端会議もいいが、仕事はしっかりやっているんだろうな?」
そのとき、不意に届いた声に花は出かけた言葉を飲み込んだ。
ふらりと現れたのは八雲である。
若竹色の着流しをまとい、純和風の回廊に立つ姿はそれだけで風情がある。



