「そうは言ってもあまり食べすぎると、お前さんもたぬきになるぞぃ」

「う……っ、それ、今言わないでくださいよ」


 考えていたことをグサリと言い当てられた花は、「ごちそうさまでした」と呟きスプーンをお皿の上に置いた。

 空になったカップを見ながら、改めて美味しかったなと余韻に浸るあたり反省はない。


「いやいや、それを言うなら、今こそしっかり食べておくべきときなのではないでしょうか? ほら、良い子を産むには栄養をつけることが必要と言いますし」

「な……う、っ! ご、ゴホッ、ぐっ、黒桜さん、冗談やめてください……!」


 ぽん太の隣で、黒桜が笑顔で爆弾のような言葉を投下した。

 水を口にしたばかりだった花は咳き込みながら黒桜に抗議をしたが、当の本人はなんのそのといった表情(かお)をしているから、たちが悪い。