﴾凉side﴿
「俺と、付き合わねぇ?」

何だこの状況。

何故「学園の王子様(笑)」が私に交際の申し込みをする?

選びたい放題だろうに。

あ、もしや。


罰ゲームか人違いか?

まあ、どのみち断るけど。


「付き合わねえよ」

おや、断られるとは微塵も思わなかったのか?凄い驚いてる。


これじゃ私が悪いみたいじゃん。さっさと帰ろ…。

「んじゃ」


「ちょ、待って!」

待たないめんどくさいかったるい。

無視するに限る。

ガシッ

わ、腕捕まれるとは…



なんだ、このたまらない苛立ちは…!?


「離せ」

ハンサム(今は「イケメン」だっけか?)なら何をしても許されるとか思ってるな、この男。

顔が良いから驕(おご)ってるのか?


その驕りを叩き割ってやろうか、今ここで、完膚なきまでに。

「俺と付き合ってよ、楽しいよ?」

しつこいうざいおぞましい。

「何を根拠に言ってんだよ」

我ながら口が悪いか?

ていうか漫画に、「~だわ」とか、「~ですわね」みたいなお嬢様口調の女子よく居るけど、そんな口調の女子、現実世界で会ったことねぇ。

「というかアレだろ、『あの地味女おとしたら賞金☆』みてーなやつだろ、どうせ。憶測だけど」


おい、この男顔面蒼白だぞ、マジか。

「あ、いや…」

バレたときの為にセリフ考えてこいよ。
あれか、「絶対OKされる」みたいな自負あったのか?すごい自信家だな そしたら。


「いくら貰うんだ?」

「え?」

「せっかくだから賞金の金額知りてぇな、と思ったんだよ。どんな はした金でこんなダルいことすんのかと思ってよぉ」

考えただけでダルいわ、マジで暇人だな。

「さ、三千円…」

安っ!

「お前、そんな小銭目的かよ?つーか、私の価値はそんな安いのかあ?」

ムカつくからすごんでみる。

顔面蒼白王子様はもうこれ以上無いくらい真っ青。

「不愉快。帰る」

これ以上こいつと同じ時間を共有する意味がない。