「ごめんごめん、君は欲求不満だったんだよね」

「だから違いますって!」

思わずそう突っ込むと、急に男の顔色が変わったのがわかった。優しげな微笑みは顔から消え、そのまま見つめられる。


「そうだね、俺は今から君を買うんだった」


そう言って男の手が私の頬に触れた。そのままその右手は少しずつ私の頬を滑り撫で、そのまま首元へと落ちる。

──私には男性経験が無い。

それでも、お金の為なら体なんていくらでも張れる気でいた。

それなのに今の私はどうだ。
初対面の男に至近距離でただ頬や首を触られているだけで、心臓の音が嫌に速度を増していくのがわかる。感じている恐怖を顔に出さないようにするので精一杯だった。


「震えてるね」


そう言われて初めて自分が震えてる事に気がついた。思わず俯いた時、男がパッと私から手を離しそのまま少し離れた。


「怖がらせてごめんね。大丈夫、震えてる女の子無理矢理ーとか俺の趣味じゃ無いし」

「え…」