そしてそれは美琴も同じだった。

私がなんとかしないといけない。借金も早く返さなければ大きくなる。父親は宛にできない。うつ病が進行したらと思うと下手に何も言えない。

お金が必要だという事だけははっきりと分かっていて、だから母親が亡くなってから一ヶ月も経たないうちに大学は辞めた。

入学して三ヶ月で自主退学。必死で勉強して入った憧れの大学だった。だが、大学を辞めることについて不思議と悔しい気持ちも悲しい気持ちもあまり湧いてこなかった。きっと、感情のメーターが振り切れていたのだろうと今になって思う。

そして、学生時代から働いていた飲食店へのアルバイトにあるだけの時間を注いだ。

──働いて働いて働いて働いて。


そんな私を見て妹の小春は高校を辞めると言い出し、その話になる度に私は何度も何度も全力で高校を辞めようとする小春を止めた。

私はお母さんに高校を卒業させて貰った。
だから小春にも、大学は無理でもせめて高校は卒業させてやりたい。その一心だった。